今回は、韓国ソウルで開催された「KOBA 2025」にてプロ向け照明機材を中心に前編・後編に分けて現地レポートを作成しました!ぜひ最後までご覧ください🔥
前編(KOBAとは? / 近年の流行について / 5000WクラスLED照明比較)
後編(注目製品の紹介!~Kelvin新製品~Godox可変式ディフューザー~/まとめ)

KOBAとは?
韓国・ソウルで毎年開催される「KOBA(Korea International Broadcasting, Media, Audio & Lighting Show)」は、放送・映像・音響・照明など、プロフェッショナルな制作機材が一堂に会するアジア有数の展示会です。2025年で第33回を迎え、会場は例年通りCOEX(コエックス)展示場。期間は5月20日から23日までの4日間にわたり、世界中から多くのメーカーと来場者が集まった。
展示分野はプロダクション、ポストプロダクション、音響、照明、AR/VR/XR、OTTサービスなど多岐にわたり、最新のメディア技術とトレンドを体感できる場となっている。
日本で言う、「Inter BEE」のような立ち位置の展示会です!
項目 | 内容 |
イベント名 | KOBA 2025(Korea International Broadcasting, Media, Audio & Lighting Show) |
開催回数 | 第33回 |
開催期間 | 2025年5月20日(火)〜23日(金) |
開催場所 | COEX(コエックス)展示場/Hall A・C・D(韓国・ソウル) |
主催 | KOBETA(韓国放送技術人連合会)、E&EX |
出展ジャンル | 放送機材、プロ音響機器、映像制作機材、照明機材、AR/VR、OTT技術 など |
来場対象 | 映像・音響・放送業界関係者、制作会社、教育機関、学生 など |
特徴 | アジアを代表するメディア技術総合展示会/各種国際会議・セミナー同時開催 |
公式サイト | https://kobashow.com/eng |
近年の流行
LED照明の技術が革新的に進んでいる近年。KOBA 2025の会場では、特にLEDウォールと5000Wクラスの大光量LED照明機材が多く見受けられました。バーチャルスタジオの導入や撮影が進む中、よりリアリティのあるLEDウォールや色調整のしやすいLED照明の開発が進んでいるのだと感じます。
\PICK UP/ LEDウォールとは?
→高精細なLEDパネルを用いて大型のディスプレイ面を構築し、リアルタイムで背景映像を映し出すシステムです。特にバーチャルプロダクション(Virtual Production)において中核を担う技術として、映画やドラマ、CM制作の現場で急速に採用が進んでいます。
メリット
→天候や時間帯に左右されず、確実に撮影ができる
→背景映像からの光が演者やセットに自然に当たりグリーンバックに比べて自然なライティングが可能
→グリーンバックが不要になりポストプロダクションの手間が削減される
デメリット
→リアリティを出すために高度な技術とオペレーションが必要
→カメラワークに制限がある
→LEDのピッチが広いと不自然になってしまう
また、主要LED照明メーカーから、今年登場した5000WクラスのLED照明が会場内でも注目を集めていました。HMIの6kWコンパクトに匹敵するレベルのパワーが出せるLEDが3社から開発され、それぞれフレネルレンズやビームなどのアタッチメントも登場しています。今回は、KOBAにて「NANLUX 5000B」「Aputure XT52」「Godox MG6K」の比較をしてきました!
5000WクラスLED照明比較
① NANLUX 5000B

NANLUX 5000Bは、100V電源で駆動可能な5,200Wクラスの高出力バイカラーLEDライトです。100V/55Aの電源供給で使用可能で、LEDならではの高い電気効率と発熱の少なさで現場の負担を大幅に軽減。
Evokeシリーズでは初の、電源ユニットを本体に統合した一体型設計により、設置・配線がシンプルになり、スピーディーなセッティングが可能。さらにIP規格準拠の防塵・防滴構造で、屋外や過酷なロケーションでも安心して使用ができます。
LED照明の問題点として上がっていたDIM0%~100%の調光中に起こるG/Mの色転びもなくなり、精密な色調整が求められる現場にも最適です!
電源ユニットが内蔵されていることで、本体重量は他2社に比べ重たくなっており成人男性2名(脚が高い場合は3名)ほどで持ち上げる必要があるが現場での取り回しの良さはよくなっていると感じました。また、有線のワイヤレスコントローラーも付属しており手元での操作も可能です。


出力は大きくなりましたが、明るさだけに注目してはなりません。HMIと比較した際に、レンズの直径の大きさも重要になってきます。新しくなったアクセサリーのフレネルレンズ(型番)は、16°~50°のズーム範囲で直径45cm、電動式なのでDMX制御も可能となっています。
② Aputure STORM XT52

Aputure STORM XT52は、5,200Wクラスの高出力LEDライトで、白色光の調光(CCT)に加えて、カラー出力にも対応した多機能モデルです。
STORM 1200xと同様に、「BLAIR(Blue/Lime/Amber/Indigo/Red)」エンジンを搭載し、±グリーン調整を含む精密な色温度制御を実現しています。
簡単に言うと…
5つのLEDカラー(青、ライム、アンバー、インディゴ、赤)を組み合わせ、2500-10,000K CCTの範囲での調光やHSIC+モードとX,Yコントロールモードを使用することで、Rec.2020色域の70%以上の色を出力できるということです。
これは、他2社には無い機能ですね。
本体のランプヘッドは27.8kgと高出力モデルとしては軽量で、1人での設置も可能。標準のクランクスタンドにも対応しています。
また、コントロールボックスは13.4kgで、設置の自由度も高く、7.5mのヘッドケーブルは最大45mまで延長可能です。


フレネルレンズのズーム範囲は、20°~62°となっており電動での操作も可能になっているが、KOBAの展示会場では動いているところを見ることはできなかった…。
欠点として感じるのは電源問題です。110Vから電源を供給する場合、Aputure STORM XT52は、最大3200W出力までパワーが落ちてしまう。これは、XT26に比べて約10%プラスした明るさです。
またカメラ側の絞りを上げていくとわかりやすいですが、Aputure XT52にSTORM Parallel Beam 70をつけた状態で5600Kで点灯させている際によく見るとLEDの素子が見えてしまっているように感じます。


この色問題に関しては、ファームウェアのアップデートで改善されるか今後に期待したいと思います。
③ Godox KNOWLED MG6K

Godox KNOWLED MG6Kは、4300Wクラスの高出力バイカラーLEDライトです。製品名である「6K」はHMI 6kWを示しておりHMI 6kWに匹敵する明るさという意味から付けられたと展示会職員が言っていました。
CCT範囲は、2800K-10,000Kとなっており、G/M調整は±100%の範囲で可能。IP54の防塵・防滴性能、CRMX内蔵といったプロの現場にも柔軟に対応できるつくりとなっています。

ライトヘッド部分は、ヨーク込みで28kg。バラストは、比較的小型なサイズ感で13kgと成人男性1人でもセットができる重量感です。隣に展示してあったGodox KNOWLED MG2400R(フルカラー2,650WのLED照明)とバラストのサイズが同じ大きさだったことには驚きです…!
Godox KNOWLED MG6Kも同様に、5600KでDIMを100%~0%に下げていくとDIM5%あたりで色温度が変わってしまうバグが生じました。写真だとわかりにくいと思いますが、以下の通りです。


DMXなどで明るさを徐々に下げていくといった演出をしたい場合は、現状難しいかもしれません。今後のファームウェアでアップデートされるかを期待したいと思います。
同様のテストを、NANLUX Evoke 5000Bでも試してみたが、やはりDIM0%~100%の調光中に色味が変わることやカメラのF値を絞ってもLEDの素子が見えるといったことは起きませんでした。(※しかし、展示会場の天井や他の装飾ライトによる影響もあるためテストをする必要はある)

前編まとめ
Inter BEE 2024では見ることができなかった製品や、韓国・ソウルならではのメーカーが多く出展していたKOBA 2025。こうした細かな比較ができる機会は貴重なので、みなさんの参考になれば嬉しいです。
後編では、
①注目製品の紹介(Kelvinの新製品/Godoxの可変式ディフューザー)
②KOBA 2025のまとめと、今後の展望
について詳しくお届けします!
ぜひ後編もご覧ください🔥